みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 161 Quiet Motion」と題して、プリセット・プログラム「161 Quiet Motion」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
大人しい音ですが、基音から離れた高い倍音成分が特徴の音です。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: プログラムをエディットする
シーケンサーの音に合うようなものを自分なりにエディットしてみました。
設定方法
プログラムからの変更点は以下の通りです。
OP1をFIXED: 1.41HzからRATIO: 2.0000、MODE: FB: 50%に変更(「ふぁうん」って音の追加)
OP5のWAVEをADDITIVE 1+4に変更(弾いた後に出てくる高音域を追加)
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
大人しい音から、ちょっと存在感が浮かび上がったかな...
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには29番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2がキャリアのみ。
OP3とOP4、OP5とOP6の組み合わせでキャリア-モジュレーターの直接接続といった構成です。
OP1では、固定周波数1.41Hzが設定されています。
音は可聴帯の外側になるので聞こえません。
OP2では、MODE: FMを使用して、波形がADDITIVE SAW3、RATIOが2.0000。
OP-PITCHのDETUNEでピッチの小さなずれが設定されています。
OP-L MODでピッチにLFO1の周期的変化を与えるように設定されています。
LFO1の波形がSAMPLE&HOLDなので、ランダムなピッチとなります。
OP3-OP4では、MODE: FMを使用して、波形はSINE 12BIT、FREQENCY MODEはキャリアのOP3が固定周波数の1.02Hz、モジュレーターのOP4は2.0000とキャリアの固定周波数でモジュレーターの音を揺らしています。
OP3はキー・トラックで基準キーをC4から離れるほどレベルがプラスになるように設定されています。
OP5-OP6では、MODE: FMを使用して、波形はSINE 12BIT、RATIO比が12:9と高いピッチでの変調です。
OP6はOP-PITCHのDETUNEでピッチの小さなずれを与えるように設定されています。
OP6はキー・トラックで基準キーをB3として高いキーになるほどレベルが下がるように設定されています。
OP5は通常LEVELが0%ですが、モジュレーション・ホイールを動かすことでLEVELが上がるようにバーチャル・パッチで設定されています。
FILTERはLPF12を使用しています。
FILTER-MODでカットオフ周波数に対してLFO2の周期的変化を与えるように設定されています。
エフェクターはAUTO PAN(BPM)で音を周期的に移動させ、UNISON ENSEMBLEで厚みを加え、REVERBで少し大きな室内の残響を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP5のLEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでOP2のFM: WAVE: WIDTHをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
オペレーターのすべてでMODE: FMが設定されています。
キャリアのOP1にはFIXEDの1.41Hzが設定されています。
単独で鳴らしても聴感上の効果は感じられませんでした。
OP2ではWAVEがADDITIVE SAW3が設定されています。
WIDTHが99%ですが、ほとんどOFFです。
OFFとの聴感上の効果は感じられませんでした。
OP3とOP4によって、DETUNEとは違った独特のFM音源の倍音の揺らぎをもった音を作っています。
OP5とOP6によってRATIOが高い組み合わせのキャリア-モジュレーターの直列接続ですが、キャリアであるOP5のLEVELが0のため音が出力されていませんが、バーチャル・パッチでOP5のLEVELをモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
RATIOが2.0000となっていますが、後述するPROG MISCでトランスポーズを-12semiとして、1オクターブ下に設定して出力された音の高さを調整しています。
OP-EG
OP3のATTACK TIMEで立ち上がりを少し遅く設定されています。
SUSTAIN LEVELを100にして、持続音としています。
RELEASE TIMEも少し長めに設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2, OP4, OP6にDETUNEが設定されて、音の揺らぎを演出しています。
OP-L MOD
OP2, OP5のLFO1 INTを設定にして音のレベルに周期的変化を与えています。
LFO1のWAVEがSAMPLE&HOLDが設定されて、ランダムな周期的変化を得ています。
これがプログラムの音の特徴となっています。
OP-KEY TRACK
OP1はCENTER KEY(基準の鍵盤の位置)をC4、HIGH SLOPEを50%に設定して高いノートほど出力レベルが高くなるように設定されています。
OP3はCENTER KEYをC#6、LOW SLOPEを35%、HIGH SLOPEを50%に設定して、C#6を境にノートが離れるほど出力レベルが高くなるように設定されています。
OP2, OP4, OP5はLOW SLOPE, HIGH SLOPEの値が0なので他のパラメーターの設定は効果がありません。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値です。
LFO2によりフィルターのCUTOFF周波数が変化するように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EGは使用されていません。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON、TEMPO SPEEDが1/16に設定されています。
LFO1はOP-L MODでOP2, OP5のLFO1 INTを設定にして音のレベルに周期的変化を与えています。
LFO1のWAVEはSAMPLE&HOLDで、ランダムなレベルがテンポに同期して発音されるように設定されています。
LFO2は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.26Hzに設定されています。
LFO2は0.26Hzとゆっくりした周期でFILTERのCUTOFF周波数に変化を与えるように設定されています。
EFFECT
FX1にAUTO PAN(BPM)、FX2にUNISON ENSEMBLE、FX3にREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP5のLEVELの値をモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、OP2のFM: WAVE: WIDTHの値をアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
TRANSPOSEを-12semiにして1オクターブ下にしています。
ALGORITHM FEEDBACK(OP6の自己フィードバック)が71%に設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 161 Quiet Motion」と題して、プリセット・プログラム「161 Quiet Motion」のパラメーターを分析しました。
分析していると、設定しているのに効果がないパラメーターは気になります。
レベルが0で効果がないならレベルを上げてみたり、機能選択していても他の音や効果に埋もれている場合は他のタイプを選択したりすると、目的がはっきりしているので、音作りがしやすいですよ。
是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 242 Xover Bright Lead」と題して、プリセット・プログラム「242 Xover Bright Lead」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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