みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 178 Formant Pad」と題して、MODE: FILTERを使用したプリセット・プログラム「178 Formant Pad」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
ボコーダーのような音です。
4つのキャリアにMODE: FILTERを使ってFIXED(固定周波数)で200、320、800、1500Hzとしてバンド・パス・フィルターを設定する。
ボコーダーの原理を応用したプリセットです。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押して2周します。
音データ
ボコーダー、、、だよね(笑)
実験2: モジュレーション・ホイールの効果
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押して4周します。
- 1周目はモジュレーション・ホイールが0の位置
- 2周目でモジュレーション・ホイールを徐々に奥に動かして最大レベルまで
- 3周目でモジュレーション・ホイールを徐々に手前に戻して0の位置まで
- 4周目はモジュレーション・ホイールが0の位置
音データ
ビブラート効果としてLFO1: SPEEDを変化させているのがわかります。
実験3: OP6のFBを変化させる
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
2周目からOP6のMODE: FM: FBを50→100→50と変化させます。
音データ
途中ちょっとピーキーになったのは残念ですが、面白い変わり方をしますね。
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールで操作しても面白そう。
OP6といった一番遠いモジュレーターのFBを操作したので、
細かいニュアンスが変化しました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズム40を使っています。
4つのキャリアと逆Y字接続されたモジュレーター、その上にもう一つ直列接続されたモジュレーターといった組み合わせです。
キャリアであるOP1~OP4の4つのオペレーターがFREQUENCY MODEをFIXEDにして、周波数を分けてMODE: FILTERを使ってBPFを並べている...ボコーダーではないか(笑)
OP5とOP6で人の声のような波形にして、各周波数帯域で成分をコントロールしていますね。
人の声のようにするために、MODE: FMのWIDTH、FBパラメーターを使って調節されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
MODE機能に関しては前述のアルゴリズムの中で説明しましたね。
OP5とOP6のモジュレーター部分のMODE: FMのWIDTH、FBパラメーターで声の波形の基本を作っています。
...オペレーターを増やしたくなりますね(笑)
OP-EG
サスティン・レベルは100にして、
4つのキャリアのリリース・タイムが4.000sとなっています。
声の表現のためにOP5とOP6のアタック・タイムをほんの少しだけ時間をかけていますね。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
声の震えはOP-P MODでLFOの効果を設定しています。
OP-L MOD
ベロシティでL MODをコントロールしていますので、歌い上げっぷりは弾く強弱で表現するように工夫されていますね。
OP-KEY TRACK
そしてKEY TRACKは鍵盤の位置での補正をしたものと思われます。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
FILTER MODでキー・トラックの設定がされていますが、効果はないと思います。
MOD(EG、LFO)
EG
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.70Hzに設定されています。
LFO1はオペレーターのピッチで使用され、モジュレーション・ホイールでSPEEDパラメーターをコントロールできるようにバーチャル・パッチで設定されています。
LFO2は、WAVEがSINE、KEY SYNCがOFF(LFOの位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが4.50Hzに設定されています。
LFO2はアフタータッチの効果によりピッチの変化として使用されています。
LFO3は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
EFFECT
声を重ねる効果としてUNISON ENSEMBLEが設定されていて、演奏時のパフォーマンスを考慮してDELAY(BPM)が設定されていますね。
演出としてDELAYを深めにかけるのも面白いですよね。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、LFO1のSPEEDパラメーターの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP5のWIDTHパラメーターを鍵盤の位置(NOTE NUMBER)によって変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP5のFBパラメーターを鍵盤の位置(NOTE NUMBER)によって変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、プログラム全体のピッチをアフタータッチの効果に応じてLFO2で変化するように設定されています。
MISC
PITCHホイールの設定が1オクターブになっています。
VOICE
ユニゾン機能を設定して、声の厚みを増しています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 178 Formant Pad」と題して、MODE: FILTERを使用したプリセット・プログラム「178 Formant Pad」のパラメーターを分析しました。
プログラマーは「KORG Inc.」になっています。
ボコーダーのように使う手法、、、開発者の方のプログラミングなのかな?
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 157 FilterFM Pad」と題して、MODE:FILTER FMを使用したプリセット・プログラム「157 FilterFM Pad」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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