みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 205 Glass Waves」と題して、プリセット・プログラム「205 Glass Waves」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
グラス・ハープのような感じですが、金管を通したような音がします。
エフェクトによって、スペーシーな残響効果が演出されています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
高音域の成分はOP1-OP2によるMODE: EFFECT: WAVESHAPERで作られています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによってOP3のCOARSE RATIOを変化させるように設定されています。
これを試してみます。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
この複雑な音の変化、面白いですね。
実験3: OP4を操作する
OP4のLEVELを100%に上げ、バーチャル・パッチでOP4のCOARSE RATIOをLFO3を設定して変化させてみましょう。
設定方法
OP4のLEVELを100%にします。
LFO3をWAVEにRANDOM: LEVEL、SPEEDを0.60Hzに設定する。
V.PATCH3にSOURCEをLFO3、DESTINATIONをOP4 COARSE RATIO、INTを20に設定
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
分析すると音の変化の要素がどこのパラメーターなのかがわかります。
そのパラメーターを調節することで違った味わいが出ますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには05番のアルゴリズムが設定されています。
3つのキャリア-モジュレーターの直列接続といった構成です。
OP1, OP2の直列接続はグラス・ハープの音を作っています。
モジュレーターOP2によるFM変調による音の変化は味付け程度。
キャリアであるOP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERでTYPE: 09:ATTACK UPを使用して音作りがされています。
OP1はOP: EGによる時間的変化以外にバーチャル・パッチでEG3によるOSC MIXに時間的変化させて、2段階の時間的変化を設定しています。
OP3, OP4の直列接続はグラス・ハープの幹となる音を作っています。
OP1, OP2の直列接続と同様にキャリアであるOP3のMODE: EFFECT: WAVESHAPERでTYPE: 30:TAKE2を使用して音作りがされています。
OP4はFEEDBACKにより倍音を多く含んだ波形にして出力しています。
OP5, OP6の直列接続は持続音の部分の音を作っています。
OP6はOP: EGでATTACK TIMEが1.480sと非常にゆっくりなので、MODE: EFFECT: PUNCHの効果はわかりませんでした。
OP5のMODE: FILTERでLPFを使用して、WAVE: SAW HDとフィルターによる音作りがされています。
音の厚みを加えるために、オペレーター全体にOP-PITCHにDETUNE、OP-P MODでLFO1、EG1による変化を付け加えて複雑な揺らぎを演出しています。
音の厚みを加えるもう一つの手段として、VOICE: UNISON VOICESを2にして厚みを加えています。
エフェクトは、CHORUS、AUTOPAN DELAY、REVERBでゆったりとした空間を演出しています。
演奏表現手段として、オペレーター全体にベロシティが設定されています。
そしてモジュレーション・ホイールを動かすことでOP3のRATIOが変化するように設定されています。
アフタータッチによりOP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXが変化するように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
グラス・ハープの音を作るため、ATTACKを遅めに設定して、ゆっくりと減衰していくエンベロープのパラメーターになっています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP1~OP4はDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP1, OP3, OP6はEG1で時間的変化をするように設定されています。
OP4, OP5はLFO1で周期的変化をするように設定されています。
OP-L MOD
全オペレーターに鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP1はLFO1で周期的変化をするように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP3以外のオペレーターは基準キーをC2として、高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が使用されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECAY/RELEASE TIMEが非常に短く設定されていて、CURVEも8と急峻な減衰をするカーブに設定されています。
EG1はOP-P MODでOP1, OP3, OP6のピッチに対して時間的変化をするように設定されています。
EG2はDECAY TIMEが短く設定されていてCURVEが6。
EG2はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
EG3は長いATTACK/DECAY/RELEASE TIMEとSUSTAIN LEVELが51、CURVEが6。
EG3はOP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXを時間的変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.35Hz、FADE(フェード・イン:効果が最大になるまでの時間)が0.960sに設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP4, OP5のピッチに対して周期的変化をするように設定されています。
LFO1はOP-L MODでOP1のレベルに周期的変化をするように設定されています。
LFO2はWAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.30Hzに設定されています。
LFO2、LFO3はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はAUTOPAN DLY、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXをEG3で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP3のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
LOFIがONに設定されています。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが10cents、UNISON SPREADが45%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 205 Glass Waves」と題して、プリセット・プログラム「205 Glass Waves」のパラメーターを分析しました。
実験ではOP4を操作して音に変化を与えました。
WAVESHAPERのTYPEの変更するとかOP5のMODE: FILTERのCUTOFFを操作するとか、まだまだ遊べる要素があります。
是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 233 Spread Love」と題して、プリセット・プログラム「233 Spread Love」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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