みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 220 Analog=FM Bass」と題して、プリセット・プログラム「220 Analog=FM Bass」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
「ピチッ」といった音とピッチ感のあるサイン波の音で構成されています。
キーの位置によって音の質感が違うプログラムです。
FILTERにより音の特徴を仕上げています。
MODE: FILTERの機能については以下のページから4ページをかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
FILTERのレゾナンスが効いた音で仕上げられています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすと音程感のある管に通した音に移り変わっていきます。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには01番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2の直列接続とOP3~OP6の直列接続の2つの構成です。
OP2, OP4, OP5, OP6のLEVELが0となっていますので、実際はキャリアのOP1、OP3で作成されています。
ただし、WAVE、RATIOが設定されていますので、ユーザー側にLEVELスライダーを動かして音を作ってほしいという意図が感じられます。
OP1では、「ピチョンッ」といった音が作成されています。
OP1は波形にSAW HDが使用され、RATIOが0.5000、OP-PITCHでTRANSPOSEを12semi(12半音、1オクターブ上)が設定されています。
OP3では、音程感を持たせた上で「うぃんっ」というフィルターがかかった音を作成しています。
OP3は波形にSINEが使用され、RATIOが1.0000が設定されています。
FILTERはLPF POLY6が使用され、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対して、EG2による時間的変化をベロシティにより変化量をコントロールするように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、LFO2による周期的変化をベロシティにより変化量をコントロールするように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、キー・トラックで基準キーをC5として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、FILTERのCUTOFF、RESONANCEをEG2で時間的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
エフェクターはAUTOPAN DELAY(BPM)により広がりを感じるエコー感を加味しています。
OCTAVEで1オクターブ下に設定されています。
ピッチ・ホイールでの変化量を、プラス側で24semi(2オクターブ)、マイナス側で-60semi(5オクターブ)に設定されています。
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、途切れないようにする)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)が設定されています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことで、プログラム全体のLEVEL、OP1のFM: EEDBACK、OP4, OP5のLEVEL、プログラム全体のRELEASE TIME、FILTERのRESONANCE、EG2のATTACK/DECAY TIMEをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
ベロシティによりEG2のATTACK TIMEをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでLFO2のSPEEDをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアのOP1, OP3以外のオペレーターのLEVELが0に設定されています。
後述するバーチャル・パッチの2番のEG2によるFILTERのRESONANCEの効果を0にすると、OP1で「ばうっ」といった低い音、OP3では純粋なサイン波です。
バーチャル・パッチではモジュレーション・ホイールで操作すると、LEVELが0だったオペレーターのLEVELを上げて、違った音になるように設定されています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP1のピッチに対して、TRANSPOSEが12semi(12半音: 1オクターブ上)が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が使用されています。
カットオフ周波数に対して、以下の設定がされています。
EG2の時間的変化を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によりコントロールするように設定されています。
LFO2による周期的変化が設定されています。
基準キーC5に対して、キーが低くなるほどマイナスに、キーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は、DECAY TIMEが非常に短く設定されています。
EG2は、アタックをゆっくりにしてDECAY/RELEASE TIMEが短く設定、CURVEを6と減衰カーブが急になるように設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化を、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によりコントロールするように設定されています。
EG2はバーチャル・パッチでFILTERのCUTOFF、RESONANCEを時間的変化するように設定されています。
EG2のATTACK TIMEはバーチャル・パッチにより鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
EG2のATTACK TIMEはバーチャル・パッチによりモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
EG2のDECAY TIMEはバーチャル・パッチによりモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
LFO
LFO1はWAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.13Hzに設定されています。
LFO2はWAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.16Hzに設定されています。
LFO2はFILTERのカットオフ周波数に対する周期的変化が設定されています。
LFO2のSPEEDはバーチャル・パッチによりアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
EFFECT
FX1はOFF、FX2はAUTOPAN DLY(BPM)、FX3はOFFが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、EG2のATTACK TIMEを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FILTERのRESONANCEをEG2で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、LFO2のSPEEDをアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH4は、プログラム全体のLEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP1のFM: EEDBACKをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP4のLEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、プログラム全体のRELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- .PATCH9は、FILTERのRESONANCEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、EG2のATTACK TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、EG2のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、FILTERのCUTOFFをEG2で時間的変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに-1oct(1オクターブ下)が設定されています。
ピッチ・ベンドの値をプラス側に24semi(2オクターブ)上がる、マイナス側に-60semi(5オクターブ)下がるように設定されています。
VOICE
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、途切れないようにする)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)
GLIDE TIMEに0.087sです。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 220 Analog=FM Bass」と題して、プリセット・プログラム「220 Analog=FM Bass」のパラメーターを分析しました。
シーケンサーでなく手弾きをすると、また違った音の変化が味わえます。
持続音での変化が楽しめますよ。
KORGのバーチャル・パッチはアイデアを具現化するための宝箱のよう。
分析していて楽しいです。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 280 Algo Tripping MW」と題して、プリセット・プログラム「280 Algo Tripping MW」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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