みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「シンセサイザーの機能 アンプとエンベロープ・ジェネレーター:AMP、AMP EG(EG2)」について説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
アンプ:増幅器(AMPLIFIER:AMP)
シンセサイザーは本体のVOLUMEとは別に、シンセサイザーで作った波形の振幅(音量)を決めるアンプがあります。
パラメーターの説明
AMP:LEVEL
設定値:[0…127]
[INITPROG]の設定値:100
音量の時間的変化(AMP EG[EG2])
どのような楽器も、音量は時間とともに変化していきます。
シンセサイザーには、時間的変化を自動制御する機能には、エンベロープ・ジェネレーター(EG)があります。
microKORG XL+の初期化の「INITPROG」のデータでは、以下の状態です。
- 鍵盤を押したときに音が鳴る
- 鍵盤を離したときに音が止まる
ここで、エンベロープ・ジェネレーターについて説明します。
エンベロープ・ジェネレーター(EG)
パラメーターの説明
エンベロープ・ジェネレーター(Envelope Generator:以下、EG)は、パラメーターに時間的変化を与えます。
「エンベロープ・ジェネレーター(Envelope Generator)」を日本語にすると、「包絡線発生器」。
- エンベロープ:封筒、外皮、覆い、包絡線
- ジェネレーター:発生器
エンベロープ・ジェネレーターは、「音を出す」、「音を出すのを止める」の情報を元に時間的に音量レベルを自動でコントロールするします。
※「音を出す」、「音を出すのを止める」の情報とは、
鍵盤だと、「鍵盤を押す」、「鍵盤を離す」の情報となります。
EGのパラメーターは以下の4つです。
※例として、鍵盤の操作を元に説明します。
- アタック・タイム(Attack Time:AT)
鍵盤を押してから、レベルが最大になるまでの時間 - ディケイ・タイム(Decay Time:DT)
レベルが最大になってから、サスティン・レベル(一定のレベル)に達するまでの時間 - サスティン・レベル(Sustain Level:SL)
ディケイ・タイムを過ぎてから、鍵盤を離すまでのレベル - リリース・タイム(Release Time:RT)
鍵盤を離した後、レベルが0になるまでの時間
※microKORG XL+での各パラメーターの設定値は0~127です。
よって、実際の時間ではありません。
microKORG XL+には、EGは3つあり、
- フィルター用のEG(EG1)
フィルターのカットオフ周波数(CUTOFF)に時間的変化を与える
音の明るさが変化する。 - アンプ用のEG(EG2)←今回の説明
波形の音量に時間的変化を与える - アサイン可能なEG(EG3)
別途、音の変化する要素のパラメーターに割り当てて、時間的変化を与える
microKORG XL+のEGの初期値
3つのEGの初期値はすべて以下の値です。
- AT(ATACK TIME):0
鍵盤を押したら、すぐに最高値:127となる - DT(DECAY TIME):64
しばらくの時間、127を保つ - SL(SASTAIN LEVEL):127
DTを過ぎた後のレベルが127(最大) - RT(RELEASE TIME):0
鍵盤を離したら、すぐ0となる
設定値は4つとも[0…127]の範囲です。
AMP EG
「AMP EG」は「AMP:LEVEL」にEGで時間的に音量レベルをコントロールする機能です。
例として以下のような自動コントロールが可能になります。
- 時間が経つにつれて音量を小さくする。
- 鍵盤を押したら一定の音量で音を鳴らし、鍵盤を離した後、ゆっくり音量を小さくする。
上のイメージはSound Editorの画面ですが、数値だけではなくグラフになっているのでイメージしやすいです。
グラフの■の部分をドラッグすることで、EGのパラメーターを調節できます。
microKORG XL+では、「AMP EG」は「EG2(EGの2番)」と番号がつかられています。
これは、microKORG XL+の他のパラメーターを自動的に変化させる時にも同時に使用するようにことができます。
「VIRTUAL PATCH」という機能を使って他のパラメーターを変化させるように設定することができます。
「VIRTUAL PATCH」に関しては、別の項目で説明します。
「AMP EG」には「LV VELO(LEVEL VELOCITY)」のパラメーターがありますが、「ベロシティ」の項目にて説明します。
「AMP EG(EG2)」は直接EGの値が反映されるので、初期値では、
- 鍵盤を押したら、最高レベルで音を出して、そのレベルを保つ
- 鍵盤を離したら、音を止める。
といった設定です。
実験でのアルペジエーターの設定
これから、EGの時間的変化を実験していきますが、アルペジエーターを使用します。
PROGRAM [INITPROG]のアルペジエーターの初期値は以下の通りです。
- 「BPM(本体ではTEMPO)」は4分音符で1分間に何回鳴らすかを値として設定します。
- 「RESOLUTION」は1/16(16分音符1つ分)なので、BPMの1回に対して4つ鳴らします。
- すべてのステップがONなので、BPM(本体ではTEMPO)=60だと、1分間に240回鳴らすことになります。
- 「GATE TIME」は80%
- 「LATCH」(音を鳴らし続ける機能)は[OFF]
では、AMPのEGの設定で音がどのように時間的変化が起きるのか、実験してみましょう。
AMP EG:ATTACK TIME(AT)の実験
実験1(AMP EG:ATTACK TIME(AT)の値による音の変化)
「AMP EG:ATTACK TIME(AT)」を変化させて音の変化を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:ATTACK TIME(AT)」を0に設定
- 「BPM(本体ではTEMPO)」を20に設定
- アルペジエーターをON(「RESOLUTION」を1/2に変更)
- A=220Hzを弾く
- 「AMP EG:ATTACK TIME(AT)」を1回ごとに手動で0、16、32、48、64、80、96、112、127に変化させる
音データ
音は9回鳴っていますが、AT=127は時間がかかって音が聴こえにくくなっています。
実験2(AMP EG:ATTACK TIMEが127での音量の変化)
「AMP EG:ATTACK TIME(AT)」が127の時、「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」までどのくらいの時間がかかるか実験してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:ATTACK TIME(AT)」を127に設定
- A=220Hzを弾く
オシロスコープ等で確認すると、「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」になるまで20秒以上かかるようです。
音データ
AMP EG:DECAY TIME(DT)の実験
「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を変化させてみましょう。
実験1(AMP EG:DECAY TIMEの音量の減衰を確認する)
「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0にして、「AMP EG:DECAY TIME(DT)」の音量の減衰を確認します。
「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0にすることで、「AMP EG:DECAY TIME(DT)」の時間だけ減衰しながら発音します。
「AMP EG:DECAY TIME(DT)」の音量の減衰の時間的変化を音で確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0に設定
- 「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を64に設定
- 「BPM(本体ではTEMPO)」を20に設定
- アルペジエーターをON(「RESOLUTION」を1/16 [変更なし])
- A=220Hzを弾く
音データ
実験2(AMP EG:DECAY TIMEを0→127に変化)
「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0にして、「AMP EG:DECAY TIME(DT)」の音量の減衰を確認します。
「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0にすることで、「AMP EG:DECAY TIME(DT)」の時間だけ減衰しながら発音します。
今度は、「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を手動で0→127に変化させて、設定値の変化による減衰の状況を確認します。
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0に設定
- 「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を0に設定
- 「BPM(本体ではTEMPO)」を20に設定
- アルペジエーターをON(「RESOLUTION」を1/2に変更)
- A=220Hzを弾く
- 「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を1回ごとに手動で0、16、32、48、64、80、96、112、127に変化させる
音データ
大体6秒間隔で鳴ります。
最初の音は聞こえにくいです。
DT=112あたりから減衰の途中で次の音が鳴ってしまっています。
「プツッ」から「プ~ン」と減衰の時間が変わりました。
実験3(AMP EG:DECAY TIMEが127での音量の変化)
「AMP EG:DECAY TIME(DT)」が127の時、音が減衰して無音になるまでどのくらいの時間がかかるか実験してみましょう。
◆測定方法
- PROGRAM [INITPROG]から、AMP EGを変化させます。
- 「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を0に設定
- 「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を127に設定
- A=220Hzを弾く
※大体、オシロスコープ等で確認すると、音が減衰して無音になるまで25秒くらいかかるようです。
◆音データ
AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)の実験
次は、「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を変化させてみましょう。
実験(AMP EG:SUSTAIN LEVELを127→0に変化)
「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を0にして、「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を変化させて音量の変化を確認します。
「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を0にすることで、鍵盤を弾くと同時に「AMP EG:DECAY TIME(DT)」の時間を待つことなく、「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」になります。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:DECAY TIME(DT)」を0に設定
- 「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を127に設定
- 「BPM(本体ではTEMPO)」を20に設定
- アルペジエーターをON(「RESOLUTION」を1/2、「GATE TIME」を50%に変更)
- A=220Hzを弾く
- 「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」を1回ごとに手動で0、16、32、48、64、80、96、112、127に変化させる
「AMP EG:SUSTAIN LEVEL(SL)」が0になると、無音にならずにアタック音のみの「ぷっ」という音のみになります。
音データ
最初から何回かの音は、「ぷっ」といった後にSUSTAIN LEVELが低すぎて聞こえにくいです。
ATACKはありますが、その後のSUSTAIN LEVELが低いためです。
AMP EG:RELEASE TIME(RT)の実験
最後に、「AMP EG:RELEASE TIME(RT)」を変化させてみましょう。
実験1(AMP EG:RELEASE TIMEを0→127に変化)
◆測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:RELEASE TIME(RT)」を0に設定
- 「BPM(本体ではTEMPO)」を20に設定
- アルペジエーターをON(「RESOLUTION」を1/2、「GATE TIME」を0%に設定)
- A=220Hzを弾く
- 「AMP EG:RELEASE TIME(RT)」を手動で0→127に変化させる
音データ
アルペジエーターの「GATE TIME」が0%なので、持続音がないため、「AMP EG:RELEASE TIME(RT)」が少ないと、「ぷっ」といった音しか聞こえません。
実験2(AMP EG:RELEASE TIMEが127での音量の変化)
「AMP EG:RELEASE TIME(RT)」が127の時、離鍵してから音が減衰して無音になるまでどのくらいの時間がかかるか実験してみましょう。
◆測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP EG:RELEASE TIME(RT)」を127に設定
- A=220Hzを弾いて、すぐ離鍵する
※大体、オシロスコープ等で確認すると、音が減衰して無音になるまで30秒くらいかかるようです。
音データ
まとめ
今回は「シンセサイザーの機能 アンプとエンベロープ・ジェネレーター:AMP、AMP EG(EG2)」について説明しました。
アンプとしては「増幅器」ですので、波形の音量調節が役割です。
エンベロープ・ジェネレーターで音のレベルの変化を与えることで、音に表情を与えます。
音は9回鳴っていますが、AT=127は時間がかかって音が聴こえにくくなっています。
さて、次回は「シンセサイザーの機能 フィルターによる時間的変化:FILTER EG(EG1)」を説明します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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