みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 240 Dirty Trautonium」と題して、MODE: FILTERとMODE: EFFECTにPEAQ EQを使用したプリセット・プログラム「240 Dirty Trautonium」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
「ブ~」といったガリガリの音です。
MODE: EFFECTにPEAQ EQを使用して中域を強調した音にしています。
MODE: FILTERによる「みょん」といったフィルターで周波数成分をカットしている感じが聞こえます。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押して2周します。
音データ
ブリブリな音はフィルターによる影響が強いですね。
実験2: モジュレーション・ホイールの効果
SEQ: TEMPOを40.00に設定変更します。
モジュレーション・ホイールを0
アルペジエーターをONにしてA4を弾きながら適当にモジュレーション・ホイールを上下します。
音データ
フランジャーとは違った質感がします。
実験2: OP5のMODE: EFFECT: PEAQ EQのOSC MIXを変化させる
実験中にたまたまできた音なので、聞いてみてください。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押して、OP5のMODE: EFFECT: PEAQ EQのOSC MIXを0→100に変化させます。
音データ
あー楽しい。
オシレーター信号を入れただけですが、
フィルターが効いているからこんな音が発生してしまった(笑)
偶然こんな変化に出会えるからシンセは面白いね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムは40を使用しています。
4つのキャリアOP1~OP4に対してモジュレーターのOP5、OP6が直列接続されて、すべてのキャリアに対してOP5が逆Y字接続している構成です。
よってOP6とOP5で作った音声信号は4つのキャリアすべてに入力されます。
4つのキャリアはFIXEDで固定周波数が設定されていますが、オシレーターとして入力されているのはOP4のNOISE BLUEのみです。
一種のボコーダー的な構成です。
OP6のSAW HDの波形をOP5のMODE: EFFECTのPEAK EQで加工した音を各キャリアに音声信号として入力しています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
INITプログラムから変更はありませんでした。
FILTER
FILTERはENABLE: OFFです。
MOD(EG、LFO)
EG
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが4.80Hzに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチへの効果が設定されアフタータッチで効果の強弱を得られるようになっています。
LFO1のSPEEDパラメーターはバーチャル・パッチでアフタータッチで変化するように設定されています。
LFO2は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.03Hzに設定されています。
LFO3は、WAVEがSAW UP、KEY SYNCがOFF(LFOの位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがON、TEMPO SPEEDが4/1に設定されています。
LFO3は、バーチャル・パッチでOP5のPITCHの値を変化するように設定されています。
EFFECT
以下の3つのエフェクトにより、ベースらしく音圧感と重厚感を演出しています。
- FX1に設定されたDISTORTIONで、ゴリゴリを強調しています。
- FX2に設定されたTAPE ECHO(BPM)で、うっすら心地よくさせています。
- FX3に設定されたMASTER LIMITERで、音圧感を出しています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP5のPITCHの値をLFO3で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、LFO1のSPEEDパラメーターの値をアフタータッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のPITCHの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP2のPITCHの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP2のLEVELの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP3のPITCHの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP3のLEVELの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP4のPITCHの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP4のLEVELの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
MISC
全体のピッチを2オクターブ下に設定されています。
LFO1 INTを1.60semiに設定して、LFO1のピッチへの効果が設定されています。
これは、LFO1 CTRL SRCでAftertouchが設定されているので、アフタータッチで効果の強弱を得られるようになっています。
VOICE
VOICE ASSIGNがMONO LEGATOが選択されています。
これは、モノフォニックで発音して、レガート(途切れさせないように滑らかに演奏する)で弾くと、最初の音は普通に発音して、後の音は音を切らさないように発音(トリガーがかからない)します。
また、GLIDE MODEでもLEGATOが設定されていて、音を途切れないように演奏するとLEGATOの効果が出て、13msといった短い時間ですがタイミングをずらして音が移行するように設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 240 Dirty Trautonium」と題して、MODE: EFFECTにPEAQ EQを使用したプリセット・プログラム「240 Dirty Trautonium」のパラメーターを分析しました。
MODE: EFFECTにPEAQ EQで波形の周波数帯域をコントロールしている。
ブリブリ感はMODE: FILTERの効果ですね。
カットオフ周波数が鍵盤の位置に同期してくれるので、キーの高さで音の質感の変化が少なくてすむ。
このプリセットではアナログ・シンセサイザーで苦労するKEY TRACKの設定はしていませんね。
そして今では当たり前なのですが、シーケンサーがあると音作りしやすいですね。
実験では偶然変な音ができちゃったけれど、これもシンセサイザーで音作りをする醍醐味です。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 311 KONG’s Footstep」と題して、MODE: EFFECTにSHELV EQを使用したプリセット・プログラム「311 KONG’s Footstep」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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