みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 147 Wasps」と題して、プリセット・プログラム「147 Wasps」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
「WASPS」は「スズメバチ」。
飛び交ってくる音です。
実験ではバーチャル・パッチを1つ追加して違った音にチャレンジしています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: OP2のCOARSE RATIOをコントロールする
もう一つ、バーチャル・パッチを追加して音の変化を加えてみましょう。
バーチャル・パッチでOP2のCOARSE RATIOをピッチ・ホイールでコントロールするようにして、音がどのように変化するのか確認します。
設定方法
PROG-PITCHよりPITCH BEND UP/DOWNの値を0にする。
設定されていないV.PATCH5にSOURCEをLFO3、DESTINATIONをOP2 COARSE RATIO、INTENSITYを38(最大)に設定します。
LFO3はWAVEがRANDOM: LEVELなので複雑な変化をします。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
ピッチ・ホイールを動かします。
音データ
「ピロピロ」と高音側の音程が複雑に変化するようになりました。
結構良い出来栄え!自画自賛(笑)
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには18番のアルゴリズムが設定されています。
1つのキャリアOP1に対して3つのモジュレーターが入力されるY字接続となっており、OP4~OP6のモジュレーターが直列接続の構成です。
OP3はLEVELが0です。
OP1-OP2では、WAVEにSINEが使用され、RATIO比が1:0.0078。
OP1のSINEはOP2とのFM変調と自己フィードバックで音が作成されています。
OP2はOP-PITCHのDETUNEでピッチの小さなずれと、OP-P MODでEG1の時間的変化を与えるように設定されています。
これにより、OP2のピッチの非常に低いFM変調を含めて独特の揺れた音が聴こえます。
OP1-OP4-OP5-OP6では、WAVEにSINEが使用され、RATIO比が1:1:0.25:0.25。
OP4ではMODE: EFFECT: WAVESHAPERが使用され、OSC MIXが0。
よって、OP5-OP6で作成した音をWAVESHAPERのテーブル17: SYNC STERで波形を変化させています。
その音をOP1に入力してFM変調させています。
OP-EGは、キャリアのOP1のATTACK TIMEが3.067sと非常に遅い立ち上がりになっています。
FILTERはLPF12を使用してCUTOFF、RESONANCEが設定されています。
FILTER MODとして、カットオフ周波数に対してEG2による時間的変化を与えたり、LFO2による周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2のSPEEDをLFO3で変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
これにより複雑な周期的変化をFILTERのCUTOFFに与えています。
また、カットオフ周波数に対してキー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
エフェクターは、AUTO PANで広がりを持たせ、TAPE ECHO(BPM)でゆっくりしたエコーを加え、REVERBでTYPEにSPACEを選択して深い残響音を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでFILTERのCUTOFF、OP4, OP5のLEVELをコントロールするように設定されています。
また、アフター・タッチでコントロールするように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP4がMODE: EFFECT: WAVESHAPERが設定され、OSC MIXが0%なので、OP5からの入力信号に対してウェーブ・シェイピングする設定となっています。
OP3はミュートとなっています。
独特の浮遊感のある音はLFOのWAVEをRANDOM: LVL&TIME、RANDOM: LEVELを使用していたり、バーチャル・パッチでLFO2のSPEEDをLFO3でコントロールするように設定しているためです。
OP-EG
キャリアであるOP1のATTACK TIME、DECAY TIME、RELEASE TIMEが長く設定されています。
OP2, OP5, OP6のRELEASE TIMEが90.000sと非常に長く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2とOP6に対して、DETUNE(ピッチの小さいずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP2に対して、EG1による時間的なピッチの変化が設定されています。
OP-L MOD
OP4に対してLFO1による周期的なレベルの変化が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用され、カットオフ周波数に対してEG2による時間的変化が設定されています。
また、LFO2による周期的変化がアフタータッチでコントロールするように設定されています。
カットオフ周波数が基準キーC4に対して低いキーになるにつれてマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は、DECAY TIMEが長く設定されています。
EG1はOP-P MODでOP2に対して時間的なピッチの変化が設定されています。
EG2は、ATTACK TIME、DECAY TIME、RELEASE TIMEとも長く設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化が設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにRANDOM: LVL&TIMEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが1/4に設定されています。
LFO2は、INITプログラムの設定からSPEEDが1.93Hzとなっています。
LFO2はFILTERのカットオフ周波数に対して周期的変化がアフタータッチでコントロールするように設定されています。
LFO2のSPEEDはバーチャル・パッチによりLFO3で変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにRANDOM: LEVELが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.49Hzに設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでLFO2のSPEEDを変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はAUTO PAN、FX2はTAPE ECHO(BPM)、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、LFO2のSPEEDをLFO3で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FILTERのCUTOFFをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP4のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 147 Wasps」と題して、プリセット・プログラム「147 Wasps」のパラメーターを分析しました。
実験でバーチャル・パッチでOP2のCOARSE RATIOをピッチ・ホイールで動作させましたがいかがでしたでしょうか?
1つのパラメーターで元の音に加えて効果的な変化があらわれたと自画自賛(笑)
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 041 MW Phasing Clav」と題して、プリセット・プログラム「041 MW Phasing Clav」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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