みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 228 FLDR Bass」と題して、プリセット・プログラム「228 FLDR Bass」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
音域によってキック、クラベス、モジュレーションの効いたシンセ音が鳴ります。
オペレーターのKEY TRACKで音域で鳴るキャリアを限定させてリズム・マシンのように扱えるようにしています。
KEY TRACKについては以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
OP-KEY TRACKで音域で鳴るキャリアを限定させてリズム・マシンのように扱えるようにしています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチによりモジュレーション・ホイールを動かすことによってスネアのスナッピーのような音がするように設定されています。
音を確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
スナッピーの鳴る音、「ぷぅーん」といったシンセ音に変化しています。
ここまでするとバーチャル・パッチが不足しているように感じますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには23番のアルゴリズムが設定されています。
OP1は単独のキャリア。
OP2, OP3はキャリア-モジュレーターの直列接続。
OP4~OP6は逆Y字接続。
といった構成です。
詳細は後述しますが、4つのキャリアごとに違う音を作成して、キー・トラックで各キャリアでキーを割り当てて鳴らしているプログラムです。
OP1ではFIXEDで52.88Hzの固定周波数のサイン波を出力します。
OP1はOP-P MODでピッチに対してEG1の時間的変化を与えるように設定されています。
キー・トラックで基準キーをC#2としてキーが高くなるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
この時のカーブはEXPが使用されています。
OP1のPITCHをEG3で時間的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
これでキックの音が作成されています。
OP2-OP3ではOP2が固定周波数の211.00Hz、OP3のRATIOが0.5000が使用され、波形はOP2がSINE 8BIT、OP3がSINE。
MODE: FMを使用してFM変調をしています。
キー・トラックで基準キーをD2としてキーが低くなるほどレベルがマイナス(カーブがEXP)、キーが高くなるほどレベルがマイナス(カーブがLIN)になるように設定されています。
OP2のPITCHをEG2で時間的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
これで、ノイジーな音を含んだ電子音を作成しています。
OP4~OP6は2つのキャリアOP4, OP5の両方にモジュレーターOP6が接続されている逆Y字接続です。
OP4-OP6では、MODE: FMを使用して波形がSINE、RATIO比が11:0.25。
キャリアのRATIOのピッチが高く、モジュレーターのRATIOが低い構成です。
キー・トラックで基準キーをG2としてキーが離れるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
実際にはG2でしか音が出力されません。
クラベスのような音がします。
OP5-OP6では、OP5にMODE: WAVE FOLDERを使用し、波形がOP5がADDITIVE TRI3、OP6がSINE、RATIO比が0.125:0.25。
OP5ではOSC MIXでオシレーターの音も加えて、WAVE FOLDERで波形を変形させています。
キー・トラックで基準キーをG#2としてキーが低くなるほどレベルがマイナス(カーブ: EXP)、キーが高くなるほどレベルがマイナス(カーブ:LIN)になるように設定されています。
「ブォ~ッ」という音程のある音に、段ボールの上にビニールをのせたところに叩いたようなノイズが加わっています。
OP5のMODE: WAVE FOLDERのGAINをLFO1で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
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FILTERはLPF12が設定されていますが、INITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは、EARLY REFLECTIONで雑味を加え、REVERBで残響感を加えています。
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演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでLFO1のSPEED、OP1のMODE: FMのFEEDBACK、OP4のMODE: FMのFEEDBACK、OP2のPITCH、EG2のDECAY TIME、OP2のEG: RELEASE TIME、OP2のEG: RELEASE TIME、OP3のCOARSE RATIOを変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでLFO1のSPEEDをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP4に対してTRANSPOSEで12semi(12半音なので1オクターブ)の設定がされています。
OP-P MOD
OP1に対して、EG1により時間的変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1はC#2より低いキーで出力されるように設定されています。
ドラムのキックのような音です。
OP2はD2付近でのみ出力されるように設定されています。
聴感上D2~G2までの出力を狙った設定です。
D2から離れると出力が小さくなってしまいます。
ハンド・クラップっぽい音に「プチッ」とした音が混ざっているような音です。
バーチャル・パッチでピッチをEGで変化するように設定されているためです。
OP4はG2で出力されるように設定されています。
FINGER SNAPPINGのような音です。
OP5はG#2より高いキーで出力されるように設定されています。
弾いてみるとG#2から音程のある音が出力されています。
これはOP5, OP6で作られた音ですね。
MODE: WAVE FOLDERで作成して、バーチャル・パッチでWAVE FOLDERのGAINに対してLFO1の周期的変化を与えています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はOP-P MODでOP1のPITCHを時間的変化するように設定されています。
EG2はバーチャルパッチでOP2のPITCHを時間的変化するように設定されています。
EG3はバーチャル・パッチでOP1のPITCHを時間的変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとにLFOの位相がリセットされる)、TEMPO SYNCをONにしてシステム・テンポ(4/1)に同期、FADE(フェード・イン)を0.346sに設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでOP5のMODE: WAVE FOLDERのGAINを周期的変化するように設定されています。
G#2より高いキーを長く押していると、この効果を確認することができます。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチによりモジュレーション・ホイールの操作、アフター・タッチで変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はOFF、FX2はEARLY REFLECTION、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP5のMODE: WAVE FOLDERのGAINをLFO1で周期的変化するように設定されています。
G#2より高いキーを長く押していると、この効果を確認することができます。 - V.PATCH2は、LFO1のSPEEDをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: FMのFEEDBACKをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP1のPITCHをEG3で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP2のPITCHをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP4のMODE: FMのFEEDBACKをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP2のPITCHをEG2で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、EG2のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP2のEG: DECAY TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP2のEG: RELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP3のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、LFO1のSPEEDをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
OSC PHASEにRANDOMが設定されています。
LOFIがONです。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「 KORG opsixのプリセット分析: 228 FLDR Bass」と題して、プリセット・プログラム「228 FLDR Bass」のパラメーターを分析しました。
「FLDR」はフロア・ドラムの略なのかな?
タイトルだけだと「ベースかな?」と思ってしまいますが、音域によってリズム・セクションが割り当てられていました。
ユーザーが1から作成することはなかなかないと思うので、このプログラムを元に自分なりにアレンジすると面白いことができますよ。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 107 MOD Storm」と題して、プリセット・プログラム「107 MOD Storm」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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