みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 065 4 Tap Diffusion」と題して、プリセット・プログラム「065 4 Tap Diffusion」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
木琴を叩いたような音に仕上がっています。
低い音のキーでは、ブチッという音がでて、シーケンス・データではリズムに乗せて不思議な空間を演出しています。
音作りには様々な要素が盛り込まれていて、、、分析するだけで大変(笑)
オペレーターにMODE: EFFECT: SHORT DELAYを使ったり、自分でオペレーターの構成が可能な、「ユーザー・アルゴリズム」を使って音作りがされています。
MODE: EFFECT: SHORT DELAYの機能については以下のページで説明しています。
ユーザー・アルゴリズムの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
モジュレーション・ホイールとMODE: EFFECT: SHORT DELAYによる効果が味わえますね。
実験2: OP5の波形を変更する
測定方法
OP5のMODE: FM: WAVEをSINE→TRI3、FEEDBACK: 0%→50%に変更する。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
木琴から離れて倍音成分を増やしてシンセサイザーっぽいPADにしてみました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムにはユーザー・アルゴリズムが設定されています。
こんな複雑なユーザー・アルゴリズム、勘弁してぇ(笑)
5つのキャリアがあるのですが、互いにキャリア、モジュレーターになっているので、影響しあいながら複雑な音を作っているとだけ、考えておけばよいと思います。
OP1~OP4はMODE: EFFECT: SHORT DELAYを使用して、OSC MIXは0なので、入力された後段のモジュレーターの信号に対してエフェクトしています。
OP1~OP4はOP4からの入力信号をエフェクトしてキャリアとしては音を出力、モジュレーターとしては、接続されたキャリアへ信号を出力しています。
OP1~OP4はMODE: EFFECT: SHORT DELAYのパラメーターを微妙にずらして設定されています。
OP5, OP6の直列接続の音を元に複雑な信号の流れとなっています。
なので、OP5のLEVELを0にすると音が出力されません。
OP5, OP6はベロシティが設定されて、鍵盤の強弱によりレベルが変化するように設定されています。
FILTERはLPF12が使用され、高音域の成分がカットされています。
カットオフ周波数はEG2による時間変化が設定されています。
エフェクターはうっすらとかかっています。
その他、バーチャルパッチにて、OP1~OP4のS.DELAY TIMEをLFO2、LFO3で周期的変化を与えるように設定されています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP1~OP4のS.DELAY TIMEを変化するように設定されています。
また、アフター・タッチでOP5, OP6のSUSTAIN LEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
FREQUENCY MODEがFIXEDの0.01Hzのオペレーターに対して、MODE: EFFECT: SHORT DELAYを使用して複雑な効果が出ています。
OP5, OP6のFREQUENCY MODEがRATIOのオペレーターの組み合わせもあるため、音程感があります。
OP-EG
OP1~OP4のSUSTAIN LEVELを100にして、キーを押している時はレベルが変わらないよう設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP6に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でピッチをコントロールするように設定されています。
OP4に対してLFO1で周期的変化するように設定されています。
OP-L MOD
OP6に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でレベルをコントロールするように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用されています。
カットオフ周波数に対して、EG2の時間的変化が設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は、ATTACK TIMEが90.000sを非常に長い時間をかけて立ち上がってくるように設定されています。
EG1はOP-P MODでOP6に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でピッチをコントロールするように設定されています。
EG2は、FILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化をするように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.80Hzが設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP4に対して周期的変化するように設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHによりピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEがRANDOM: LVL&TIME、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.75Hzに設定されています。
LFO2はバーチャル・パッチでOP2, OP4のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEがRANDOM: LEVEL、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.05Hzに設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP1, OP3のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はUNISON ENSEMBLE、FX2は3-BAND EQ、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP2のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP3のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP4のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP1のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP2のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP3のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP4のMODE: EFFECT: SHORT DELAYのS.DELAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP5のSUSTAIN LEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP6のSUSTAIN LEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
ピッチ・ベンドの範囲がプラスに±12semi(1オクターブ)に設定されています。
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
全体のATTACK TIMEを短くなるように設定されていますが、OP5が13msでそれ以外は0msなのでほとんど効果がないと思います。
VOICE
UNISON VOICESが3、UNISON DETUNEが39cents、UNISON SPREADが78%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 065 4 Tap Diffusion」と題して、プリセット・プログラム「065 4 Tap Diffusion」のパラメーターを分析しました。
ユーザー・アルゴリズムはランダマイズで値を決めたのか...
セルフ・フィードバックが設定されていないところもあり、ランダマイズを使ったとしてもパラメーターを整理しないといけないので、プログラマーが試行錯誤して作り上げたのだと思います。
凄い。
この境地になるとうかつにパラメーターを操作して遊ぶことができませんよ。
ということで実験では波形だけ変えてみました。
いかがでしたでしょうか。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 072 Crystal Syn Bell」と題して、プリセット・プログラム「072 Crystal Syn Bell」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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