みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 202 Engagement Pad」と題して、プリセット・プログラム「202 Engagement Pad」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
金属音とバックでノイジーのスペーシーな音です。
MODE: FILTER FMを使ってバーチャル・パッチでEGとLFOによりコントロールすることで複雑に音が変化するように設定されています。
MODE: FILTER FMの機能については以下のページから3ページにかけて説明しています。
バーチャル・パッチの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: ベロシティの効果を確認する
ベロシティにより複雑な音の変化が設定されています。
これを確認します。
測定方法
コードを強く弾きます(D4, G4 C5, F5)。
音データ
最高に強く弾くとこの音になります。
ベロシティは鍵盤を弾く強弱で変化しますので、弾きながら音の変化を掴んでいきます。
実験2: OP5を操作する
OP5のLEVELが0%なので、バーチャル・パッチの設定で、ピッチ・ホイールに割り当てて変化を確認します。
設定方法
バーチャル・パッチで設定されたアフター・タッチの設定をピッチ・ホイールに割り当てます(V.PATCH12)。
PROG-PITCHよりPITCH BEND UP/DOWNの値を0にする。
V.PATCH11のSOURSEをPITCH WHEEL、DESTINATIONをOP5のLEVEL、INTENSITYを100に設定
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
ピッチ・ホイールを0→プラス(最大)→0にする。
音データ
「ブィーン」といった音が加わりました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには22番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2の直列接続、OP3~OP6はモジュレーターOP6が1つの逆Y字接続です。
OP1-OP2では、OP1にMODE: FILTER FMを使用して、波形はOP1がADDITIVE 1+3、OP2がSINE、RATIO比が1:0.0078とモジュレーターのRATIOが非常に低い設定です。
OP1にMODE: FILTER FMでOP2で変調された波形の低音域をカットするように設定されています。
カットオフ周波数はOP1のピッチに同期しますので、キーの位置が変わっても音の質感はほぼ維持されます。
OP2はベロシティによるレベルのコントロールが設定されています。
また、キー・トラックで基準キーをC4として高いキーになるほどマイナスになるように設定されています。
これによりグラス・ハープのような音がします。
OP3~OP6の逆Y字接続を見ていきます。
OP3-OP4では、キャリアのOP3がMODE: RING MOD.を使用して、波形はOP3がSINE、OP6がSAW、RATIO比が1:0.5。
ゆっくりと低音の厚みが加わってくる音です。
OP3-OP5では、キャリアのOP4がMODE: RING MOD.を使用して、波形はOP4がNOISE WHITE、OP6がSAW、RATIO比が1:0.5。
ゆっくりとノイズが加わってくる音です。
OP3-OP6では、キャリアのOP5がMODE: FMを使用して、波形はOP5がSINE、OP6がSAW、RATIO比が1:0.5。但し、OP5のLEVELが0%のため、効果はありません。
OP6はキー・トラックで基準キーをC4として高いキーになるほどマイナスになるように設定されています。
立ち上がりがゆっくりで、OP6のATTACK TIMEが5秒なので変調もゆっくりかかってくるのがわかります。
FILTERはLPF12を使用して、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対して、EG2による時間的変化をベロシティによるコントロールが設定されています。
エフェクターは、AUTO PAN(BPM)でゆったりと音が左右に振られていて、TAPE ECHO(BPM)で深めの雑味のあるエコー感を加え、REVERBで遠くまで広がる残響音を演出しています。
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のCOARSE RATIOをLFO1による周期的変化をするように設定されています。
- V.PATCH2は、OP2のCOARSE RATIOをLFO2による周期的変化をするように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: FILTER FMのCUTOFFをEG2による時間的変化をするように設定されています。
- V.PATCH4は、OP6のPITCHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP3のMODE: RING MOD.のRING DEPTHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP1のATTACK TIMEを鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
- V.PATCH7は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP6のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP6のPITCHをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP3のMODE: RING MOD.のRING DEPTHをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
各オペレーターにEGによる時間的変化を設定してモジュレーションが複雑に変化するように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP1に対してDETUNEでピッチの小さなずれが設定されています。
OP-L MOD
OP2に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP2, OP6に対してキー・トラックで基準キーをC4として高いキーになるほどマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用され、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対して、EG2による時間的変化を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によってコントロールするように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、LFO2による周期的変化をするように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2はDECAY TIMEが長めに、CURVEが4と減衰カーブが少し急になるように設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によってコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1はWAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは3/4に設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでOP2のCOARSE RATIOを周期的変化をするように設定されています。
LFO2はWAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは4/1に設定されています
LFO2はOP2のCOARSE RATIOを周期的変化をするように設定されています。。
LFO3はWAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは4/1に設定されています。
EFFECT
FX1はAUTO PAN(BPM)、FX2はTAPE ECHO(BPM)、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のCOARSE RATIOをLFO1による周期的変化をするように設定されています。
- V.PATCH2は、OP2のCOARSE RATIOをLFO2による周期的変化をするように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: FILTER FMのCUTOFFをEG2による時間的変化をするように設定されています。
- V.PATCH4は、OP6のPITCHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP3のMODE: RING MOD.のRING DEPTHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP1のATTACK TIMEを鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
- V.PATCH7は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP6のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP6のPITCHをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP3のMODE: RING MOD.のRING DEPTHをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 202 Engagement Pad」と題して、プリセット・プログラム「202 Engagement Pad」のパラメーターを分析しました。
弾き方やコードによって響き方が変わるプログラムです。
ある意味センスが問われる。
なので私はプリセットのシーケンサーを使います(笑)
モジュレーターのLEVELが100%。
なかなかないんです。
モジュレーターのLEVELを調整するだけでも音が変化しますね。
皆さんも音作りにチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 200 Feel The Warmth」と題して、プリセット・プログラム「200 Feel The Warmth」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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