みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット音のパラメーター分析: 324 [TMP] Reso Noise」と題して、MODE: FILTERを使用したプリセット・プログラム「324 [TMP] Reso Noise」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
雪が積もった夜の道でフード越しに聞こえる風の音のようです。
オペレーターのMODE: FILTERのレゾナンスを使って効果を演出しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
A4=440Hzを4回、弾く強さを「弱、強、弱、強」と弾きます。
音データ
ベロシティで音量の変化がありましたね。
実験2: 弾きながら、モジュレーション・ホイールを操作
A4=440Hzを数回弾きながら、モジュレーション・ホイールを動かします。
音データ
モジュレーション・ホイールを最大にするとサイン波のみのフィルターを介した音が出て、戻すとホワイト・ノイズになるのがわかりました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
確認したところ、テンプレートのプログラムなので複雑な設定はされていませんでした。
INITプログラムから以下のような設定がされていました。
- アルゴリズム1が選択されていて、オペレーターはOP1とOP2のみ使用して、後のオペレーターはMUTE
- MODE:フィルターによりレゾナンスの効いた音に設定されている
- バーチャルパッチによりモジュレーション・ホイールを動かすとOP2のサイン波のレベルが上がり、OP1のホワイトノイズのレベルが下がるように設定されている
- キャリアであるOP1にベロシティが設定されて弾く強弱によって音量がかわる
- アフタータッチでピッチへのLFO効果を設定
では、各ページでのパラメーター設定を確認します。
アルゴリズム
アルゴリズム1が2つのキャリアで直列接続されているアルゴリズムです。
初期設定値はOP3~OP6のオペレーターはミュートされていて使っていません。
なので2つのオペレーターで音が作られています。
OP2はOP LEVELが0%ですが、バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを操作することでレベルを上げるように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアであるOP1はMODE: FILTERが設定されていて、そののWAVEには「NOISE WHITE」(ホワイトノイズ)が選択されています。
モジュレーターであるOP2はMODE: FMが設定されていてます。
OP LEVELが0ですが、バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを操作することでレベルを上げるように設定されていますので、モジュレーション・ホイールを操作すると、キャリアであるOP1に変調を加えます。
名前の通り、MODE: FILTERにてレゾナンスを90%に設定して、ノイズにフィルターをかけています。
OP-EG
キャリアであるOP1のエンベロープ・ジェネレーターでDECAY TIMEが5秒。
ゆっくりと音が小さくなります。
鍵盤から指を離しても1秒間かけて音がなくなります。
モジュレーターであるOP2はSUSTAIN LEVELが100なので、レベル最大で音が出て、鍵盤から指を離すと、2秒間かけて音がなくなります。
CURVEは初期設定値の6ですから標準的な減衰の仕方と考えて良いと思います。
OP1がMODE: FILTERなので、モジュレーターOP2はFILTERに入力信号であるサイン波をOP1に送ります。
OP1側ではOP2からの入力信号をFILTERを介して出力します。
MODE: FMではないので、OP2によるFM変調の効果は得られません。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-KEY TRACK
キャリアであるOP1に音の強弱であるVELOCITYが設定されています。
強弱により音量が変わります。
キー・トラックはOP1のレベル(音量)が低い鍵盤側で大きくなる設定
鍵盤の位置による音量の補正だと思います。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
以下の設定がされていますが、LFO1のみアフタータッチの効果で使われています。
EFFECT
エフェクトは設定されていません。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、モジュレーション・ホイールを上げることで、OP2のサイン波のOP LEVELを上げます。
- V.PATCH2は、モジュレーション・ホイールを上げることで、OP1のオシレーターの入力信号のレベルを下げます。
なので、モジュレーション・ホイールにより、OP1のホワイトノイズとOP2のサイン波の音量バランスを変化させている設定です。
なので、モジュレーション・ホイールを最大にするとサイン波のみのフィルターを介した音が出ます。
MISC
アフタータッチで1.5半音の幅でLFO1のピッチへの効果が設定されています。
VOICE
ユニゾンのボイス数が2に設定されています。
モジュレーション・ホイールを最大にすると、グラスハープのような音が聞こえてきます。
ホワイトノイズでは聴感上ではわからないですね。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット音のパラメーター分析: 324 [TMP] Reso Noise」と題して、MODE: FILTERを使用したプリセット・プログラム「324 [TMP] Reso Noise」のパラメーターを分析しました。
何も知らずにこのプログラムを弾くと、ホワイトノイズしか聞こえない(笑)
モジュレーション・ホイールを操作すると音の変化が起きてくる。
シンセサイザーを店頭で試奏する場合、モジュレーション・ホイールを操作してみてください。
新たな発見がありますよ。
プリセット音を分析する時はバーチャル・パッチの設定を確認してください。
パラメーターに変化はなくてもバーチャル・パッチの設定で他のパラメーターを使って変化させていることがわかってきますよ。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixの機能: MODE: FILTER FM」と題して、機能と実験方法について説明します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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