みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 280 Algo Tripping MW」と題して、プリセット・プログラム「280 Algo Tripping MW」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
BELLとは違った金属的な音がします。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすとモジュレーターのLEVELが変化するように設定されています。
実験3: アフター・タッチの効果を確認する
バーチャル・パッチでアフター・タッチにより複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
設定方法
バーチャル・パッチで設定されたアフター・タッチの設定をピッチ・ホイールに割り当てます(V.PATCH9~V.PATCH12)。
PROG-PITCHよりPITCH BEND UP/DOWNの値を0にする。
V.PATCH9のMOD CTRL SRCをPITCH WHEELに変更
V.PATCH10のSOURCEをPITCH WHEELに変更
V.PATCH11のMOD CTRL SRCをPITCH WHEELに変更
V.PATCH12のSOURCEをPITCH WHEELに変更
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
ピッチ・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
「コツコツ」した音に変化していきますね。
これはバーチャル・パッチでFILTERのCUTOFFを変化するように設定されているためです。
実験4: エフェクトの効果を確認する
エフェクトに、FX1: EARLY REFLECTION、FX2: SPRING REVERB、FX3: COMPRESSORと効果がわかりにくいエフェクトが設定されています。
これをON/OFFして効果を確認します。
測定方法
エフェクトは設定されたONからはじめます。
アルペジエーターをRESOLUTIONを1/16→1/4に変更
ARP LATCHをON
キーA4を弾く
ダウン・フレーズ2回(6音)ごとにエフェクトのON/OFFを実施します。
EARLY REFLECTION | SPRING REVERB | COMPRESSOR | |
1回目 | ON | ON | ON |
2回目 | OFF | ON | ON |
3回目 | OFF | OFF | ON |
4回目 | OFF | OFF | OFF |
5回目 | OFF | OFF | ON |
6回目 | OFF | ON | ON |
7回目 | ON | ON | ON |
COMPRESSORのON/OFFで音圧等が変化してしまうため、最後にOFFにしています。
音データ
EARLY REFLECTIONは初期反射の音を加えているので、わかりにくかったかな。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには16番のアルゴリズムが設定されています。
キャリアがOP1の1つ、モジュレーターOP2, OP3, OP5がY字接続して、OP3-OP4、OP5-OP6の直列接続といった構成です。
すべてのオペレーターでMODE: FM、WAVEにSINEが使用されています。
OP1-OP2では、「ぴぃーん」といった音を作成しています。
RATIO比が0.5:1でFM変調しています。
OP1, OP3, OP4では、ガムランのような音を作成しています。
RATIO比が0.5:0.0158:13と非常に偏った構成でFM変調しています。
OP1, OP5, OP6では、グラスを叩いたような高い音を作成しています。
RATIO比が0.5:3:31とこちらも非常に偏った構成でFM変調しています。
これにより複雑な響きを得ています。
キー・トラックでオペレーターのレベルに対して、基準キーをC2として高いキーになるほどマイナスに設定されています。
FILTERはLPF MS-20を使用して、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対して、EG2による時間的変化をベロシティによりコントロールするように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、キー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
エフェクターはEARLY REFLECTIONで音のまわりを明るく包むような響きを加え、SPRING REVERBで長めの響きを加え、COMPRESSORでアタックを強調して音圧を上げています。
UNISON VOICESを2に設定して音に厚みを持たせています。
こうしてできた音に対して、アルペジエーターで3オクターブのキーを鳴らすように設定されています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP2, OP3, OP4, OP5, OP6のLEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでLFO1のSPEED、FILTERのCUTOFFをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
FILTERのCUTOFFをLFO1で周期的変化するように設定され、アフタータッチで変化量をコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
各オペレーターのRATIOが違っています。
これにより複雑な響きを得ています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
すべてのオペレーターに対して、DECAY TIME、RELEASE TIMEが短く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-KEY TRACK
基準キーをC2として、キーが高くなるほどマイナスのレベルとなるように、オペレーターすべてに設定されています。
FILTER
FILTERはLPF MS-20が使用され、カットオフ周波数に対してEG2の時間的変化をベロシティにより変化量をコントロールするように設定されています。
また、カットオフ周波数が基準キーをC4としてキーが低くなるほどマイナス、高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、少しだけアタックに時間をかけ、RELEASE TIMEが少し長く設定され、CURVEもやや急な5になっています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化をベロシティにより変化量をコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1はWAVEにEXP. SAW DOWNが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが4.05Hzに設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチの設定でプログラム全体のLEVELを周期的変化するように設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでFILTERのCUTOFFを周期的変化するように設定され、アフタータッチで変化量をコントロールするように設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチによりアフタータッチでコントロールするように設定されています。
LFO2はWAVEにSAW UPが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.31Hzに設定され、RANDOM PHASEがON、PHASEが-180deg(-180度のところから始まる)に設定されています。
LFO2はバーチャル・パッチの設定でALGORITHM、FX1のEARLY REFLECTIONのREVERB TIME、FILTERのCUTOFFを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが4/1に設定されています。
EFFECT
FX1はEARLY REFLECTION、FX2はSPRING REVERB、FX3はCOMPRESSORが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、ALGORITHMをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FX1のEARLY REFLECTIONのREVERB TIMEをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP2のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP3のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP4のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、FILTERのCUTOFFをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、プログラム全体のLEVELをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、LFO1のSPEEDをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH11は、FILTERのCUTOFFをLFO1で周期的変化するように設定され、アフタータッチで変化量をコントロールするように設定されています。
- V.PATCH12は、FILTERのCUTOFFをアフタータッチで変化量をコントロールするように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが10cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
ARP
上記のアルペジエーターの設定がされています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 280 Algo Tripping MW」と題して、プリセット・プログラム「280 Algo Tripping MW」のパラメーターを分析しました。
アルゴリズムのNo.をLFOにより変化するようにしちゃっています。
モジュレーション・ホイールを動かすと複雑な変化があらわれますね。
「どうしてこんな音になるんだろう」とデータを確認するとだんだんわかってきますよ。
また、エフェクトの部分も単なるエフェクトではなく、音のキャラクターの要素として使用されています。
是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 290 WS Pulse Anthem」と題して、プリセット・プログラム「290 WS Pulse Anthem」のパラメーターを分析します
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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