みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(1)」と題して、2つのオペレーターを使ってキャリアとモジュレーターによる音の変化について説明します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
- 2つのオペレーターを使って実験
- RATIO: OP1(C): 1.0000、OP2(M): 1.0000での実験
- 実験1: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 0%
- 実験2: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 30%
- 実験3: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 37%
- 実験4: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 50%
- 実験5: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 70%
- 実験6: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 100%
- 実験7: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 0→100%
- まとめ
2つのオペレーターを使って実験
FMのオペレーターとアルゴリズムが理解できた今回は、キャリアとモジュレーターによる音の変化を実験するために、まず2つのオペレーターを使って実験してみましょう。
選んだアルゴリズムは1番です。
そのうちのオペレーター1(OP1)とオペレーター2(OP2)だけを使います。
その他はレベルを0%にして、音の変化に影響がないようにしています。
よって、以下の構成になります。
OP1がキャリア、OP2がモジュレーターです。
opsixでは、キャリアは赤、モジュレーターは青として表現され、本体左側のRATIOノブの色が変わります。
RATIO: OP1(C): 1.0000、OP2(M): 1.0000での実験
今回はOP1とOP2を同じ「1.0000」に設定して、モジュレーターOP2のレベルを変化させたときにどのように音が変化していくのか、実験します。
実験でのパラメーターの設定値は、初期化されたプログラム「INIT」からの変更点を記述します。
opsixのアルゴリズムは6つのオペレーターがあり、「Algorithm 1」は以下の構成です。
そのうち、OP1とOP2の2つのオペレーターを使うため、OP3~OP6のOP Levelを0%に設定します。
opsix本体左側のLEVELスライダーでOP1を最大、OP3~OP6を0に下げてください。
そして、OP2のLEVELスライダーのレベルを変化させていく。
なお、実験ではDATA ENTRYノブ側で変化させています。
これにより、以下の構成で実験します。
OP1がキャリア、OP2がモジュレーターです。
OP2のモジュレーターがOP1のキャリアに変調をかける(くすぐっていく)実験です。
なお、実験では時間的変化が発生しないように、オペレーターのエンベロープ・ジェネレーターをINITプログラムの初期値から以下に設定しています。
「FMのキャリアとモジュレーターの関係」の実験で特に説明がない場合、この設定です。
実験1: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 0%
まず、モジュレーターのOP2のOP LEVELを0%にして、影響がない時の音を確認しましょう。
OP1のみの純粋なサイン波となります。
OP1のOP LEVEL=100%なのは、キャリアはそのまま出力レベルとなるからです。
設定値
OP1とOP2のOP LEVELは、本体左側のLEVELスライダーで設定できます。
測定方法
上記の設定値でA3=220Hzを弾く。
音データ
波形
周波数スペクトル
実験2: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 30%
では、モジュレーターのOP2のOP LEVELを30に上げてみます。
設定値
音データ
「こぉー」と、音が変化しました。
これがモジュレーターOP2のレベルを上げた効果です。
波形
波形もサイン波から変わってきました。
周波数スペクトル
基音の220Hz以外に倍音が発生しました。
実験3: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 37%
では、もう少し上げてみましょう。
モジュレーターのOPのOP LEVELを37にします。
設定値
音データ
少し音に濁りが出てきました。
波形
OP LEVEL=30より波形が湾曲してきました。
周波数スペクトル
基音の220Hzのレベルが下がり、倍音が増えました。
DX-7の時もそうですが、モジュレートすると基音のレベルが下がることがあるのが、
FM音源の特徴です。
悪いのではありませんよ。あくまで特徴ですから。
実験4: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 50%
では、OP2のOP LEVELを設定範囲の半分の50%にしてみましょう。
設定値
音データ
ちょっとクリック音が付いたようなオルガンの音に似てきました。
クリック音が付いたように感じるのは、アタックが速いからです。
波形
波形も四角くなってきました。
周波数スペクトル
OP2のOP LEVEL=37よりも倍音が増えています。
そして、基音の220Hzのレベルが戻りましたね。
実験5: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 70%
初めてなので、こつこついきます。
OP2のOP LEVEL=70で。
設定値
音データ
KAMINはこれで十分オルガンの音ですが(笑)
あとはEFFECTのロータリー・スピーカーだけでも十分です。
波形
波形も矩形波を保ちながら、くねってます。
周波数スペクトル
どんどん高域の倍音が増えています。
実験6: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 100%
では、OP2のOP LEVEL=100%の音を聞いてみましょう。
設定値
音データ
きつーい音になりました。
波形
波形のくねくねの数がいくつもできました。
周波数スペクトル
この実験では5kHzぐらいまでの倍音が増えていくのがわかりました。
実験7: OP1(C): OP LEVEL: 100%、OP2(M): OP LEVEL: 0→100%
最後に音を鳴らしながら、OP2のOP LEVELを手動で0→100%にしてみました。
音データ
モジュレーター OP2の変調の深さ(くすぐり具合)で、
どのように音が変化するのか、感じていただけたと思います。
まとめ
今回は「KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(1)」と題して、2つのオペレーターを使って同じRATIO: 1.0000でモジュレーターのレベルの変化で音の変化がどのようになるのか、実験をしてみました。
いかがだったでしょうか。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(2)」と題して、モジュレーターのRATIOの値を「2.0000」に変化させて実験します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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