みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 102 Angklung Lore」と題して、MODE: EFFECTにSHELV EQを使用したプリセット・プログラム「102 Angklung Lore」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
しゅわしゅわしたノイズが押し寄せるように演出された音です。
このしゅわしゅわ感はMODE: EFFECT: SHELV EQを使用して実現しています。
実験
では、音で確認しましょう。
- SHELV EQのHIGH、LOWを変化
- OP3のレベルを上げて木を叩いた音を大きくする。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
A3=220Hzを強めに弾きます。
音データ
弾き続けていると、数秒後にまた鳴ります。
バーチャル・パッチ1の設定でそうなっている...
プロのプログラマーは凄いね!
実験2: バーチャル・パッチ1を変化させる。
A3=220Hzを弾きながら、バーチャル・パッチ1のINTを+64→0→-100→0→+64に変化させます。
音データ
実験1の効果の確認です。
弾き続けていると、数秒後にまた鳴ります。
バーチャル・パッチ1の設定を変化させるとこんな変化をしています。
凄いっ!
実験3: OP6のMODE: EFFECTのSHELV EQ:HIGHパラメーターを+/-に変化
以下のアルペジエーターの設定でA3=220Hzを強めに弾きながら、OP6のMODE: EFFECTのSHELV EQ:HIGHパラメーターを+/-します。
音データ
実験4: OP6のMODE: EFFECTのSHELV EQ:LOWパラメーターを+/-に変化
以下のアルペジエーターの設定でA3=220Hzを強めに弾きながら、OP6のMODE: EFFECTのSHELV EQ:LOWパラメーターを+/-します。
音データ
実験5: OP3のLEVELを変化させる
A3=220Hzを弾きながら、OP3のLEVELを+/-します。
音データ
LEVELを上げると、木を叩く音が増してきました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
主な音作りは以下の通りです。
- 3つのキャリアで音を重ねていく作り方です。
- OP5で音の芯を作って、OP4はその周りを囲うような音。OP1はMODE: RING MOD.を使って、管を通ったような音を作っています。
- モジュレーターOP3のMODE: EFFECTのDECIMATORはより複雑な波形で変調をかけるために使われています。
- OP1~OP3の音を聞くと、OP3によってディジュリドゥのような木の管のような荒れた感じの音になっています。
- モジュレーション・ホイールでフィルターの効果を変化させています。
では、各ページでのパラメーター設定を確認します。
アルゴリズム
使用しているアルゴリズム37は構成が複雑です。
キャリアのOP1、OP2に対して、OP3、OP5の両方がモジュレーターとして機能しています。
キャリアのOP1、OP2がMODE: EFFECTのPHASERですが、RATIOがOP1が2.0000、OP2が1.0000と1:2の周波数比となっています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
- キャリアであるOP1、OP2にMODE: EFFECTのPHASERが設定されていますが、OSC MIXパラメーターが0%なので、設定されているWAVE: NOISE WHITEが音声信号として入力されていません。
- OP3とOP4のオペレーターはOP3のLEVELが低いので、ほとんど効果がわかりません。
OP3のレベルを上げると「ぶんっ」といったアタック音が大きくなります。
木をたたいた音のようですね。 - OP5とOP6で作成された音をRATIOの違うOP1とOP2によりMODE: EFFECTのPHASERでフェイズ効果をプラスして音を作っています。
OP-EG
キャリアであるOP1、OP2のSUSTAIN LEVELを100にして、打鍵後のレベルの変化がないようにして、RELEASE TIMEを5秒と長く設定されています。
実際はモジュレーター側のRELEASE TIMEが短いので、もっと早く減衰しています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-KEY TRACK
- OP-PITCHでは、OP3とOP4にDETUNE設定がされています。
- OP-L MODでは、ベロシティと、LFO1でオペレーターのレベルの変化をさせています。
- OP-KTRKでは、OP4とOP6のキー・トラックで鍵盤の位置による効果を設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、LPF12のCUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
- LFO1は、OP5、OP6のLEVELを周期的に変化させる設定がされています。
- LFO1のSPEEDパラメーターはバーチャル・パッチで変化するように設定されています。
- LFO3はバーチャル・パッチでLFO1のSPEEDパラメーターが変化するように設定されています。
EFFECT
- FX1の3-BAND EQでLOWを上げて、MIDを絞っています。
- FX2のREVERBでTYPEをPLATEにして、「しゅわっ」とした残響を付けています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、LFO1のSPEEDパラメーターをLFO1で周期的変化するように設定されています。
この設定によって鍵盤を押し続けると、数秒後に音が鳴る仕掛けになっています。
...凄い!
- V.PATCH2は、LFO1のSPEEDパラメーターをモジュレーション・ホイールを動かすことで値を変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、LFO1のSPEEDパラメーターをLFO1で周期的変化するように設定して、モジュレーション・ホイールを動かすことで値を変化するように設定されています。
V.PATCH1~V.PATCH3は同じLFO1のSPEEDパラメーターに対して設定されていますが、効果は少しずつ違いますね。
- V.PATCH4は、OP5のMODE: SHORT DELAYのTIMEパラメーターをLFO2で変化させています。
- V.PATCH5は、LFO1のSPEEDパラメーターを鍵盤キーの位置によって値を変化させています。
- V.PATCH6は、LFO3のSPEEDパラメーターを鍵盤キーの位置によって値を変化させています。
- V.PATCH7は、OP3のMODE: PHASERのFREQパラメーターをLFO1で変化させています。
- V.PATCH8は、OP5のMODE: SHORT DELAYのOSC MIXパラメーターをアフタータッチで変化させています。
MOD CTRL SRCにもAftertouchが設定されていますが、Offのときと効果が違うのかわからない...
- V.PATCH9は、OP3のLEVELパラメーターをアフタータッチで変化させています。
MISC
INITプログラムからの変更はありませんでした。
VOICE
UNISON: VOICEが2に設定されていて、ユニゾン効果を演出しています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 102 Angklung Lore」と題して、MODE: EFFECTにSHELV EQを使用したプリセット・プログラム「102 Angklung Lore」のパラメーターを分析しました。
LEVELスライダーを変化させると、音の変化が楽しめるプログラムだとわかりました。
OP3のレベルを上げてくれることを期待しますね。
取扱説明書に書いてくれるとうれしいですね。
プリセット・プログラムのパラメーターを変化させて、プロの技を見つけることもできます。
やはり、プロは凄いね。
あっ、そうそう。
OP5にMODE: EFFECTのSHORT DELAYを使用していることで、1音の中で「シュワシュワ」鳴っています。
TIMEパラメーターを極端に短くすると、シュワシュワではなくて違った波形の変化が起きますよ(笑)
所有している人はチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsix: MODE: EFFECT: PHASER」と題して、機能説明と実験をします。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント