みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 232 Sub’n Pluck」と題して、プリセット・プログラム「232 Sub’n Pluck」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
弦の音もするし、何かを擦った音、筒のふたを開ける音もする。
2種類の音を音域をうまく使って仕上げていますね。
高域は音のぎらつきを補うためにKEY TRACKでレベルを上げています。
KEY TRACKの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
筒のふたを開けたような音には感服です。
実験2: FILTERのTYPEを変更してみる
測定方法
FILTERのTYPEをLPF12に設定。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1フレーズごとにFILTERのTYPEを変更します。
LPF12→LPF24→LPF MS-20(元)→LPF POLY6→HPF12→HPF24→HPF MS-20→BPF6→BPF12→ BRF6→BRF12
音データ
ちょっと無謀な実験かな(笑)
フィルターごとにキャラクターがあって楽しいよね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには09番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2の直列接続と、OP3~OP6のY字接続の構成です。
OP1-OP2では、MODE: FMを使用し、波形はOP1がSINE、OP2がTRIANGLE、RATIO比が0.5:3が設定されています。
低音のSINE波が鳴ります。
OP1がSUSTAIN LEVELが79と持続音の部分を担っています。
OP1はOP-P MODでLFO1の周期的変化をモジュレーション・ホイールを動かすことで効果が上がるように設定されています。
OP3-OP4では、MODE: FMを使用し、波形はOP1がSAW、OP2がSINE、RATIO比が15.15:2と設定されています。
OP3はRATIO: 15.1500と高いピッチとしてアタックの部分を担っています。
OP3-OP4はFM: WIDTH、FEEDBACKパラメーターにより波形を変えています。
OP4はOP-P MODでピッチがLFO1で周期的変化するように設定されています。
OP4はOP-L MODでレベルがベロシティによって強弱をコントロールするように設定されています。
OP3-OP5-OP6では、OP6がMUTEとなっています。
波形がOP3, OP5がSAW、OP6がSINE、RATIO比が15.15:3:1となっています。
OP5はMODE: RING MOD.を使用していますが、入力されるモジュレーターがMUTEしているため、RING MOD.としては機能していませんが、MUTEされているOP6を使用することにより機能させることは可能です。
OP5はOP-P MODでLFO1の周期的変化をモジュレーション・ホイールを動かすことで効果が上がるように設定されています。
倍音を多く含んだ音となっています。
OP3, OP4, OP5はキー・トラックで基準キーをC4として高いキーになるほどプラスに設定されています。
~~~~~
FILTERはLPF MS-20を使用して、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対してFILTER-MODでEG2による時間的変化をベロシティでコントロールするように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、キー・トラックで基準キーをC3として高いキーになるほどプラスに設定されています。
エフェクターは、3-BAND EQで3つのポイントでプラスに、SPRING REVERBでバネの「びよーん」といった成分を加え、MASTER LIMITERでアタックを強調して音圧を上げています。
~~~~~
演奏表現の手段として、アフター・タッチでOP2のLEVEL、SUSTAIN LEVELをコントロールするように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
キャリアがOP1とOP3。
OP1はSUSTAIN LEVELが79と持続音の部分を担っています。
OP3はSUSTAIN LEVELが0ですので、アタックの部分を担っています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP3, OP5にDETUNE(細かなピッチのずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP1, OP3, OP4, OP5にLFO1の周期的変化があるように設定されています。
OP1, OP3, OP5では、モジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
OP-L MOD
OP4を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でレベルが上がるように設定されています。
OP-KEY TRACK
Y字接続のOP3~OP5に基準キーC4に対して高いキーになるほどレベルが上がるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF MS-20が使用されています。
CUTOFF周波数にEG2の時間的変化の効果が設定され、ベロシティにより変化量が変わるように設定されています。
基準キーをC3として、高いキーにいくほどCUTOFF周波数が大きくなるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1のATTACK TIMEが55.477sと非常に長く設定されていて、CURVEも10と急峻なカーブが設定されています。
EG2は少しだけSUSTAIN LEVELがあるエンベロープが設定されています。
EG2はFILTERのCUTOFF周波数に時間的変化の効果が設定され、ベロシティにより変化量が変わるように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにSAW UPが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが1/16に設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP1, OP3, OP4, OP5に周期的変化するように設定されています。
OP1, OP3, OP5では、モジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、SPEEDが0.74Hzに設定されています。
LFO3は、WAVEにSTEP6 SAW DOWNが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
EFFECT
FX1は3-BAND EQ、FX2はSPRING REVERB、FX3はMASTER LIMITERが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のLEVELをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH1は、OP2のSUSTAIN LEVELをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
MISC
OCTAVEに-1oct(1オクターブ下)が設定されています。
VOICE
GLIDE MODEがLEGATO(なめらかに弾いた時にピッチがなめらかに移行する)が設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 232 Sub’n Pluck」と題して、プリセット・プログラム「232 Sub’n Pluck」のパラメーターを分析しました。
実験でFILTERのTYPEを変えて録音しました。
「どれが良い」ではなくて「この音にはこのフィルターのタイプが合うな」と選択するのが一番です。
よくある「FILTERはこれが一番」みたいになってしまうとお気に入りのプログラムしか使わなくなってしまいます。
それじゃぁ勿体ないですよ。
皆さんもいろいろ試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 055 Bright Plectrum」と題して、プリセット・プログラム「055 Bright Plectrum」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント