みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 233 Spread Love」と題して、プリセット・プログラム「233 Spread Love」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
シンセ・ドラム的な音。
キーの高さで音の印象が変わりますが、同じ音です。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
モーション・シーケンス・データにモジュレーション・ホイールの動作が設定されていて、フレーズ最後のバッキング音はOP6で作られています。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: FILTERとFX3を操作してみる
FILTERの設定を変えて、低域を抑えた中高音域にブーミーなキックにして、最後のOP6のコードをタイトにするためにFX3のEARLY REFLECTIONをOFFにしてみました。
設定方法
FILTER: TYPEをLPF MS-20、CUTOFFを1.710kHz、RESOを50.00、EG2 INTを30.00に設定する。
FX3: EARLY REFLECTIONをOFFに設定する。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
こんな感じもアリかと思うのですが、いかがでしょうか?
...FILTERで遊んでみたかったので(笑)
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムにはユーザー・アルゴリズムが設定されています。
このプログラムはユーザー・アルゴリズムを使用しています。
が、OP3~OP6はミュート。
なので実際音作りを行っているオペレーターは2つ。
ユーザー・アルゴリズムでOP2自身にセルフ・フィードバックが18%と設定されています。
ユーザー・アルゴリズムでのOP1からOP2へのモジュレーション信号のレベルは68%となっています。
これを踏まえて、通常のOP LEVELのパラメーター値を確認する必要があります。
基本的にキャリアであるOP2で音作りがされています。
モジュレーターのOP1はアタック成分の荒さを調整する役割です。
SELF FEEDBACKに関しては、通常はFM: FEEDBACKパラメーターで調整しますが、ユーザー・アルゴリズムでは、アルゴリズム設定内で値を設定できます。
同じ役割と思っていましたが、実際に使ってみると聴感上違った音がでます。
だからプログラマーはユーザー・アルゴリズムを使ったのかも...
opsixを購入した人は実際にやってみてください。
OP2がMODE: FMで通常のFM変調です。
RATIOがキャリアのOP2が0.5000、モジュレーターのOP1が1.5000ですが、OP-PITCHでTRANSPOSEが-10semi(-10半音)と設定されています。
そして、PROGRAM PITCH: TRANSPOSEで-2semiしていますので、1オクターブ下を鳴らしていることになります。
OP-PITCHで2つのオペレーターのEG1 INTが設定されていることにより、アタックを強調した音を実現しています。
FILTERはLPF12が設定されていますが、INITプログラムと同じ値で、カットオフ周波数が最大でレゾナンスが0。他パラメーターもINITプログラムのままですので、効果は設定されていないと考えます。
音に厚みを加えるためにVOICE: UNISON VOICESを2に設定されています。
エフェクターは、うねりを出すPHASERが設定され、厚みを加えるUNISON ENSEMBLE、最後にEARLY REFLECTIONで音にシュワシュワ感を出していますが初期値は0です。
モジュレーション・ホイールを動かしたときにUNISON ENSEMBLEとEARLY REFLECTIONのLEVELを上げて厚みを加えています。
演奏表現手段はモジュレーション・ホイールを上に上げると、キャリアであるOP2 LEVELが下がり、FX2 UNISON ENSEMBLE、FX3のEARLY REFLECTIONのレベルが上がるように設定されています。
アフタータッチで、OP2のFM: FEEDBACKを上げ、ピッチにLFO1の周期的変化を加えます。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP2がキャリア、OP1がモジュレーターで音が作成されています。
OP6は後述するバーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを上げることで出力されます。
モジュレーション・ホイールを上げると、OP2のレベルが低くなり、OP6の音が上がるといった仕組みです。
OP-EG
キャリアのOP2はRELEASE TIMEが非常に短く設定されています。
モジュレーターのOP1はDECAY TIMEが非常に短く設定され、CURVEも10と急峻な減衰カーブが設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2, OP3はTRANSPOSEが設定されています。
OP-P MOD
OP1, OP2はEG1で時間的変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP2は基準キーD4に対して、高いキーになるほどOP1はマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECAY TIMEを短く設定し、CURVEが10と急峻な減衰カーブとなっています。
EG1はOP-P MODでOP1, OP2のピッチに対して時間的変化するように設定されています。
LFO
INITプログラムから変更はありませんでした。
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hz(LFO1)、2.00Hz(LFO2, LFO3)に設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
EFFECT
FX1はPHASER、FX2はUNISON ENSEMBLE、FX3はEARLY REFLECTIONが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、FX2のUNISON ENSEMBLEのDRY:WET MIXをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
但し、変化量が設定されていないため効果はありません。 - V.PATCH4は、FX3のEARLY REFLECTIONのREVERB LEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP2のMODE: FM: FEEDBACKをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
TRANSPOSEに-2semi(-2半音)、LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが17cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 233 Spread Love」と題して、プリセット・プログラム「233 Spread Love」のパラメーターを分析しました。
プログラマーの方はDTMを想定してモジュレーション・ホイールのコントロールをモーション・シーケンスのデータに入れてミキサーのようにOP2とOP6のLEVELを瞬時に逆にしていましたが、リアルタイムでは難しい。
OP3~OP5もあるので、音を追加してバーチャル・パッチでパラメーターをコントロールすれば、このプログラムから新たなバッキング・シーケンスもできそうです。
このプログラムのように「DTMを想定して」といった音作りをイメージすると、新たな発見があるかもしれません。
是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 273 Deli Arp」と題して、プリセット・プログラム「273 Deli Arp」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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