みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixの機能: FMのオペレーターとアルゴリズム」について説明します。
FM音源の基本のFM変調の考え方の基本の1つです。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
オペレーター
オペレーターは、 オシレーター と エンベロープ( エンベロープ・ジェネレーター: EG) を 1 つ ずつ 装備 し た ユニット です。 エンベロープ は、 オシレーター の アウトプット に 接続 さ れ て い て、 オシレーター の 出力 レベル を、 時間 とともに 変化 さ せ られる よう に なっ て い ます。
アルゴリズムの選択により、6つのオペレーターのキャリアとモジュレーターの構成を変更できます。
アルゴリズム
FM音源のアルゴリズムは、「波形に変化を受ける側と変化を与える側の並び方」です。
6つの波形の元となる「オペレーター」が「変化を受ける側」の「キャリア」と「変化を与える側」の「モジュレーター」のどちらになっているのか、決めています。
FM音源は「波形を波形で変調する」ので、その並びですね。
よく表現されるのは「くすぐる側」と「くすぐられる側」といった表現です。
「キャリア」が「くすぐられる側」で「モジュレーター」は「くすぐる側」です。
opsixでは、本体左側にあるRATIOノブの色をキャリアを(赤)、モジュレーターを(青)で表示されます。
opsix nativeでも同様に画面右上にアルゴリズムが表示されていて、キャリアを(赤)、モジュレーターを(青)で表示されています。
「アルゴリズム1」のキャリアとモジュレーターの関係は、
- オペレーター1(OP1):「キャリア(赤)」OP2からくすぐられる側
- オペレーター2(OP2):オペレーター1をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
- オペレーター3(OP3):「キャリア(赤)」OP4からくすぐられる側
- オペレーター4(OP4):オペレーター3をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
- オペレーター5(OP5):オペレーター4をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
- オペレーター6(OP6):オペレーター5をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
といった並びです。
積み上げられているので、このブログでは「何段」といった表現をします。
「アルゴリズム1」はオペレーター1とオペレーター2で2段、オペレーター3~オペレーター6で4段で構成されています。
各オペレーターのレベルは、
- キャリア:出力レベル
- モジュレーター:下にあるオペレーターをくすぐる度合い
となります。
キャリアである、オペレーター1とオペレーター3はくすぐられた結果を出力するレベルの役割となっています。
オペレーター3~オペレーター6の4段構成では、
- オペレーター6がオペレーター5をくすぐり、波形を変化
- オペレーター5がくすぐられて変化した波形でオペレーター4をくすぐり、波形を変化
- オペレーター4がくすぐられて変化した波形でオペレーター3をくすぐり、波形を変化
- オペレーター3はくすぐられて変化した波形を出力(音量レベル)
となります。
各オペレーターのレベルを調節することで、波形の変化が変わります。
これがFM音源の基本的な考え方です。
opsixでは、40パターンのアルゴリズムに加えて、ユーザーが作成できる「ユーザー・アルゴリズム」があり、各オペレーターがモジュレーターにもなりキャリアにもなれる。
しかもモジュレーターとしての変化量をオペレーターごとに設定することができます。
RATIOとFIXED
オペレータの発振器であるオシレーターはピッチのパラメーターとしてRATIOとFIXEDを選択できます。
この2つの違いについて説明します。
RATIO
RATIO(レシオ)は発振する周波数が基準の何倍かを表した数値のことです。
1.0000が基準値で、2.0000となると1オクターブ上の音を設定したことになります。
1オクターブ下にするには、0.5000といった具合です。
ノート・ナンバー(鍵盤の位置)の周波数に、COARSE ( Coarse Ratio)とFINE ( Fine Ratio)で設定した比率を掛け合わせたPITCHになります。
最初は、左側にある各オペレーターのRATIOのノブで調整するぐらいに
考えておけばいいと思います。
FIXED
FIXEDを選択すると、ノート・ナンバー(鍵盤の位置)に関係なく一定の周波数がPITCHとして設定されます。
値はヘルツ(Hz)。
ですから、どこの鍵盤で弾いても同じ周波数の音しか鳴りません。
FIXEDを使っての音作りは私も詳しくありませんが、
一例だけ実験してます。
まとめ
今回は「KORG opsixの機能: FMのオペレーターとアルゴリズム」について説明しました。
「何やらくすぐって波形が変化するんだな」
「くすぐられる人とくすぐる人を整列させたのがアルゴリズムで、その整列の仕方が40パターン用意されている」
「opsixは整列の仕方を自分でも作れる」
といった点を理解していただければ十分です。
理解していただけたでしょうか?
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は実験を踏まえて「KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(1)」について説明します。
9パターンの実験とプリセット分析をしています。
お楽しみに。
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(1)
- RATIO: OP1(C): 1.0000、OP2(M): 1.0000での実験
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(2)
- RATIO: OP1(C): 1.0000、OP2(M): 2.0000での実験
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(3)
- RATIO: OP1(C): 1.0000、OP2(M): 5.0000での実験
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(4)
- RATIO: OP1(C): 20.0000、OP2(M): 1.0000での実験
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(5)
- RATIO: OP1(C): 1.0000、OP2(M): 0.5000での実験
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(6)
- キャリアに固定周波数設定のFIXEDを用いて実験
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(7)
- 3段以上のオペレーターでの直列接続
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(8)
- Y字接続(キャリアに対してモジュレーターが並列接続する組み合わせ)
- KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(9)
- 逆Y字接続(2つのキャリアに対してモジュレーターが1つで並列接続する組み合わせ)
- KORG opsixのプリセット音のパラメーター分析: 327 [TMP] 2OP FM
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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