みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 199 Simple PWM」と題して、プリセット・プログラム「199 Simple PWM」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
「これでもかっ」と分厚くしたPWMの音です。
各オペレーターのMODE: FM: WIDTH、OP-PITCH: DETUNE、OP-P MODのLFO1 INTENSITYなどで音に揺れや厚みを持たせています。
MODE: FMの機能については以下のページから説明しています。
OP-PITCH: DETUNEの機能については以下のページで説明しています。
OP-P MOD: LFO1の機能については以下のページから説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: プログラムをエディットする
各オペレーターの波形そのものの音のみにして、音に揺れや厚みを持たせるパラメーターはINITプログラムの値に直しました。
凄くしょぼい音です。
設定方法
プログラムからの変更点は以下の通りです。
各オペレーターのMODE: FM: WIDTHを0、OP-PITCH: DETUNEを0、OP-P MODのLFO1 INTENSITYを0。
バーチャル・パッチのSOURCEがLFO1のINTENSITYを0
UNISON VOICESをOFF
エフェクトをOFF(FX1: CHORUS、FX2: 3-BAND EQ、FX3: SHIMMER REVERB)
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1回目: 上記パラメーター・データ
2回目: エフェクトをONに戻す
音データ
1回目
2回目
エフェクトを含めて音作りをすることで印象がガラッと変わります。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには32番のアルゴリズムが設定されています。
すべてのオペレーターがキャリアで各オペレーターの音が音声出力されます。
OP1, OP2、OP5, OP6の波形がSQUARE、OP3とOP4の波形がSINE 8BITでRATIOはすべて1.0000。
LEVELも100%となっています。
以下のように、オペレーター全体で微妙にパラメーターの値を変えて音の厚みや揺れを演出しています。
OP-PITCHのDETUNEでピッチの小さなずれを与えるように設定されています。
OP1, OP3, OP5ではOP-P MODでLピッチにFO1の周期的変化を与えるように設定されています。
OP5, OP6のMODE: FMのWIDTHの値をLFO1で変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
OP1, OP2のMODE: FMのWIDTHの値をLFO1で変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
ベロシティによるレベルのコントロールが設定されています。
キー・トラックで基準キーをC5として高いキーになるほどレベルがマイナスとなるように設定されています。
FILTERはLPF12が使用され、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対してEG2による時間的変化をNOTE NUMBER(鍵盤の位置)により変化するように設定されています。
カットオフ周波数に対してキー・トラックで基準キーをC5として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
エフェクターは、CHORUSで厚みを加え、3-BAND EQで中~高音域のレベルを少し上げて、SHIMMER REVERBで少し短めに残響を加えています。
UNISON VOICESを2に設定して音に厚みを加えています。
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演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP3, OP4のOCTAVEをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、ベロシティ(鍵盤を弾く強弱)により、OP1, OP2, OP5のATTACK TIME、OP3, OP4, OP6のATTACK TIMEをコントロールするように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
オペレーターすべてMODE: FMが使用されています。
波形がSQUAREとSINE 8BITを使用していますが、WIDTHで波形の幅を変えたり、OP3, OP4では自己フィードバックのFBを設定して波形を変化させています。
すべてRATIOが1.0000ですので、他のパラメーターで微妙にピッチや波形のずれを生じさせて、豊かな倍音を生み出しています。
OP-EG
DECAY TIMEを長く設定して、音の時間変化を生み出しています。
OP3, OP4は他のオペレーターと違った設定をしています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP-PITCHで各オペレーターにDETUNEが設定されています。
OP-P MOD
OP-P MODでOP1, OP3, OP5にLFO1の効果が設定されています。
OP-L MOD
OP-L MODで音の強弱(VELOCITY SENS)により各オペレーターのレベルが変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP-KEY TRACKで、鍵盤の位置C5を中心に高域になるほど効果がマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が設定されています。
モジュレーションとして、鍵盤の位置(NOTE NUMBER)により、EG2の設定が機能するように設定されています。
また、KEY TRACKでC5をCENTER KEYとして、フィルターの効き具合を調整されています。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して鍵盤の位置(NOTE NUMBER)により時間的変化を与えるように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが3.20Hz。RANDOM PHASEがON、PHASEが-180degに設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP1, OP3, OP5に周期的変化をするように設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでOP1, OP2, OP5, OP6のMODE: FMのWIDTHを変化するように設定されています。
LFO1はPROG PITCHによりアフタータッチで機能するように設定されています。
LFO3は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.75Hzに設定されています。
EFFECT
エフェクトはFX1にCHORUS、FX2に3-BAND EQ、FX3にSHIMMER REVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1, 2は、OP5, OP6のMODE: FMのWIDTHの値をLFO1で変化するように設定されています。
- V.PATCH3, 4, 5は、OP1, OP2, OP5のATTACK TIMEの値を鍵盤を弾く強弱(ベロシティ)で変化するように設定されています。
- V.PATCH6, 7は、OP1, OP2のMODE: FMのWIDTHの値をLFO1で変化するように設定されています。
- V.PATCH8, 9は、OP3, OP4のATTACK TIMEの値を鍵盤を弾く強弱(ベロシティ)で変化するように設定されています。
- V.PATCH10, 11は、OP3, OP4のOCTAVEの値をモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、OP6のATTACK TIMEの値を鍵盤を弾く強弱(ベロシティ)で変化するように設定されています。
MISC
PROG PITCHでOCTAVEが-1octに設定されていて、1オクターブ下の音にしています。
PROG PITCHでアフタータッチでLFO1が機能するように設定されています。
PROG MISCでLOFIがONに設定されています。
VOICE
UNISON: VOICEが2に設定されていて、ユニゾン効果を演出しています。
実験
では、音で確認しましょう。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験3: プログラムをエディットする
各オペレーターの波形そのものの音のみにして、音に揺れや厚みを持たせるパラメーターはINITプログラムの値に直しました。
凄くしょぼい音です。
設定方法
プログラムからの変更点は以下の通りです。
各オペレーターのMODE: FM: WIDTHを0、OP-PITCH: DETUNEを0、OP-P MODのLFO1 INTENSITYを0。
バーチャル・パッチのSOURCEがLFO1のINTENSITYを0
UNISON VOICESをOFF
エフェクトをOFF(FX1: CHORUS、FX2: 3-BAND EQ、FX3: SHIMMER REVERB)
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1回目: 上記パラメーター・データ
2回目: エフェクトをONに戻す
音データ
1回目
2回目
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 199 Simple PWM」と題して、プリセット・プログラム「199 Simple PWM」のパラメーターを分析しました。
プログラム名に「PWM」と入っていてもSINE入っちゃてる(笑)
でも6つのオペレーターをオシレーター代わりと考えれば6つ入れることができるopsix。
2つぐらい波形がSINEでもいいじゃないか。
opsixではPWMはFM: WIDTHを操作して作ります。
パラメーター分析すると、決して「SIMPLE」ではありませんでした(笑)
皆さんも音作りにチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 002 Original FM EP」と題して、プリセット・プログラム「002 Original FM EP」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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